技術経営(MOT)とは?
「技術経営(MOT(Management Of Technology))」とは、企業が保有している独自の技術を、経営学の立場から、管理・推進するための能力を指す経営用語です。なお、技術版の「MBA」とも呼ばれます。
企業は、どんなに優良な技術を保持していたとしても、技術を製品化、商品化、サービス化、事業化し、経済的な価値を創出が出来なければ、企業の利益には繋がりません。そこで、企業が保有している独自の技術を経営資源と捉え、戦略的かつ、効率的に利活用できることが必要です。それらの戦略を考案できる高い技術経営の能力を有する人材が、近年求められています。
下記の表では、技術を創出する「R&A(研究管理)」、技術を経営に生かす「MOT(技術経営)」、経営戦略を企業経営に生かす「MBA(経営学修士博士)」を、目的、講義科目のキーワードを比較しております。
R&D (研究管理) | MOT (技術経営) | MBA (経営学修士) | |
目的 キーワード 一例 | ・先端技術 ・論文、学会発表 ・特許 | ・新事業の創出・展開 ・イノベーション ・産学連携 ・アライアンス | ・経営管理 ・成長戦略 ・投資効率 ・競合優位 ・財務戦略 |
講義科目 一例 | ・研究手法 ・研究評価 ・技術管理 ・研究開発予算管理 | ・イノベーションマネージメント ・マーケティング(技術) ・知財管理 ・リスクマネジメント ・マーケティング(技術) | ・経営学 ・マーケティング(営業) ・会計学 ・人事管理 ・統計学 ・経済学 |
技術経営(MOT)に関する問題(平成31年問14)
◆確認問題
技術と経営の両面に精通し、組織横断的な事業推進力を兼ね備えた人材を育成するプログラムが大学などの教育機関で開講されている。このような教育プログラムの背景にある、技術に立脚する事業を行う組織が、技術がもつ可能性を見極めてイノベーションを創出し、経済的価値の最大化を目指す経営の考え方を表すものとして、最も適切なものはどれか。
出典:平成31年度 春期 ITパスポート試験公開問題 問14
ア. BPR イ.CSR ウ. HRM エ.MOT
正しいと思う選択肢をクリックしてみてください!!!(解答を記載しています。)
ア. BPR
不正解です。「BPR」は、ビジネスプロセス・リエンジニアリング(Business Process Reengineering)のことです。現在の業務フローを見直し、再設計することで、業務フローを最適化します。
イ.CSR
不正解です。「CSR」は、企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)のことです。企業は自社の利益だけを追求するのではなく、あらゆるステークホルダー(利害関係者)に対し、社会的貢献する責任のことです。
ウ. HRM
不正解です。「HRM」は、人的資材管理、人材マネージメント(Human Resource Management)のことです。人材を経営資源と捉え、有効活用するための仕組みを体系的に構築・運用することです。
エ.MOT
正解です。「MOT」は、技術経営(Management Of Technology)のことです。
リーン生産方式とは?
「リーン生産方式」とは、プロセス管理を徹底的に効率化(生産性向上)し、かつ、従来の品質も維持する(品質維持 or 品質向上)ことで、作業時間、在庫量を大幅に削減する如いては、生産コストを大幅に削減する生産方式のことです。「トヨタ生産システム(TPS)」の別名になります。
1980年代にアメリカのマサチューセッツ工科大学にて、ジェームズ・P・ウォマック、ダニエル・T・ジョーンズが、トヨタ自動車の生産方式(トヨタ生産システム(TPS))を研究し、その結果を一般化した生産管理手法です。「リーン( lean)」とは、英語で「痩せた」、「筋肉質」とのという意味があります。そのため、「リーン生産方式」は、生産工程の「無駄」を徹底的に取り除く、生産方式であることを意図しています。
リーン生産方式(トヨタ生産方式)の2本柱として、「ジャスト・イン・タイム(JIT)」と「自動化」が挙げられます。まず、「ジャスト・イン・タイム(JIT)」とは、必要なものを、必要な時に必要な量だけ造る考え方です。在庫の無駄を無くし、生産を最適化し、生産性向上を目的としています。次に、「自動化」とは、異常発生時、機械を自動で止め品質を工程内で作り込むという考え方です。各工程内で、品質の作り込みが出来るので、品質向上に繋げることができます。
ここで、「ジャスト・イン・タイム(JIT)」の考え方で、最も有名で重要な「カンバン方式」について解説します。「カンバン」とは、部品の納入時間や数量などが記載された作業指示書のことを指します。前工程では、「カンバン」を受け取り、製品を加工します。加工後、加工品と「カンバン」は、後工程に渡されます。後工程では、前工程で受け取った加工品を使用したら、「カンバン」を前工程に戻します。「カンバン」が戻った前工程は再び、次の加工を行います。これを一連の流れとして行うことで、工程間の仕掛品在庫を最小化することが出来ます。
リーン生産方式に関する問題(平成31年問15)
◆確認問題
ジャストインタイムやカンバンなどの生産活動を取り込んだ、多品種大量生産を効率的に行うリーン生産方式に該当するものはどれか。
出典:平成31年度 春期 ITパスポート試験公開問題 問15
ア.自社で生産ラインをもたず、他の企業に生産を委託する。
イ.生産ラインが必要とする部品を必要となる際に入手できるように発注し、仕掛品の量を適切に保つ。
ウ.納品先が必要とする部品の需要を予測して多めに生産し、納品までの待ち時間の無駄をなくす。
エ.一つの製品の製造開始から完成までを全て一人が担当し、製造中の仕掛品の移動をなくす。
正しいと思う選択肢をクリックしてみてください!!!(解答を記載しています。)
ア.自社で生産ラインをもたず、他の企業に生産を委託する。
不正解です。
イ.生産ラインが必要とする部品を必要となる際に入手できるように発注し、仕掛品の量を適切に保つ。
正解です。
ウ.納品先が必要とする部品の需要を予測して多めに生産し、納品までの待ち時間の無駄をなくす。
不正解です。
エ.一つの製品の製造開始から完成までを全て一人が担当し、製造中の仕掛品の移動をなくす。
不正解です。
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