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「コンカレントエンジニアリング」の解説 〜 ITパスポート R4年 問32 〜

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コンカレントエンジニアリングとは?

「コンカレントエンジニアリング(concurrent engineering)」とは、製品開発における複数のプロセスを同時並行で進め、開発期間の短縮やコストの削減を図る手法のことです。

「コンカレント・エンジニアリング」とは、米国で1980年代に自動車製造の分野で提唱された概念になります。製造過程における企画・設計などの「上流工程」と、製造・テストなどの「下流工程」を同時並行で作業を進めることで、開発に要する期間短縮をする手法になります。

なお、ソフトウェア開発分野などで注目されている「アジャイル開発」や「リーンソフトウェア開発」は、コンカレント・エンジニアリングの理念をもとに考案されたと言われています。

従来の製造業における開発工程は、「ウォーターフォール型開発」が主流となっていました。ウォーターフォール型開発は、その名の通り水の流れのように上流工程から下流工程に開発を進めていく手法になります。段階的に開発を進めていくため、全工程を完了させるまでにはある程度の時間を要します。

これに対し、「コンカレント・エンジニアリング」では、企画・設計・実装・テストの各ステップを同時並行で実施するため、開発期間の短縮が可能となります。

コンカレントエンジニアリングには、メリットとデメリットがあります。それぞれ紹介していきます。

コンカレントエンジニアリングのメリット

コンカレントエンジニアリングの代表的なメリットとして以下を挙げることができます。

  • 開発スピードの向上とコスト削減
    一般的な開発と違い、各工程の作業を同時並行的に行い、開発に掛かる期間を大きく短縮することができます。また、品質検討に関する業務を前倒しで行うことも可能となるため、設計段階から問題点を発見・修正できることで工数を減らして開発コストを削減することができます。
  • 多品種生産に対応可能
    設計の初期段階から他部門も含めて構想と工程をワンストップに考えることで、複数の製品を同時並行で開発できる点もメリットとなります。例えば、設計や生産プロセス、また、使用する部品などの共通化によって、ひとつの工程で複数ラインを同時並行するプロセス設計を実現すれば、多品種少量生産にも対応が可能となります。

コンカレントエンジニアリングのデメリット

コンカレントエンジニアリングの代表的なデメリットとして以下を挙げることができます。

  • QCD(品質・コスト・納期)の悪化
    QCD(品質・コスト・納期)が悪くなってしまう恐れがあります。例えば、設計途中の情報をもとに調達部門や製造部門が動いていた場合に、大きな設計変更があるとそれまでの業務が無駄になってしまう可能性があります。
  • 部門間のコミュニケーションエラー
    複数のプロセスを同時並行でミスなく進めるためには、異なる部門間での情報共有やコミュニケーションを密接に行う必要があります。体制が整っていないのにコンカレントエンジニアリングを導入すると、失敗する可能性が高いです。

コンカレントエンジニアリングの実現方法

ここで、コンカレントエンジニアリングを実現するため方法を紹介していきます。

複数のプロセスを同時並行で進めるコンカレントエンジニアリングは、情報共有を密接に行う必要があります。そこで不可欠になってくるのが、次のようなITツールの活用になります。

  • 2DCAD・3DCAD(コンピュータ支援設計)
  • CAM(コンピュータ支援生産)
  • CAE(コンピューター支援解析システム)
  • PDM(製品情報管理システム)
  • PLM(製品ライフサイクル管理システム)

これらのITツールを活用することで、製品開発のデジタル化が可能になり、情報共有や共同作業がしやすくなります。

コンカレントエンジニアリングでは、製品開発の初期段階からあらゆることを想定していく必要があります。例えば、設計者は製造方法や原材料の調達方法を考慮した上で、量産化しやすい設計を行う必要があります。そのため、設計者はこれまで以上に幅広い知識が求められます。また、他部門の担当者への説明や調整が格段に増えるため、コミュニケーションスキルも高める必要が出てきます。

コンカレントエンジニアリングでは、従来のウォーターフォール型の開発手法とは大きく異なります。そのため、部門間の連携やコミュニケーションがしやすい開発体制を再構築しなければなりません。

上記のITツールを活用し、製品開発の手順を整備して設計レビューや進捗確認の場を設けることが必要です。そのために、最終的な意思決定を誰がどのように行うかといったルール化も重要になります。また、イレギュラーチェックリストで事前に問題点を洗い出しておき、手戻りを防ぐといった工夫も求められます。

コンカレントエンジニアリングに関する問題(令和4年 問32)

コンカレントエンジニアリングを適用した後の業務の流れを表した図として,最も適したものはどれか。ここで,図の中の矢印は業務の流れを示し,その上に各作業名を記述する。

令和4年度 ITパスポート試験公開問題 問32

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コンカレントエンジニアリング

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