問題解決の羅針盤!パレート図の基本から活用法まで徹底解説〜 ITパスポート R6年 問51 〜

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パレート図とは、項目の分量の値を降順にプロットした棒グラフと、その棒グラフで示された各項目の全体における割合を折れ線グラフによって示し、それらを組み合わせた複合グラフのことです。

ビジネスや日常生活において、私たちは常に様々な問題に直面しています。「システム障害が多いけれど、どこから手を付ければいいんだろう?」「顧客からのクレームが増えているけれど、何が主な原因なんだろう?」など、多くの問題は複数の要因が絡み合って発生しています。

このような時、「どこに時間と労力を集中すべきか」を効率的に判断できる強力なツールが、今回解説するパレート図です。

ITパスポート試験においても、このパレート図は「ストラテジ系」や「マネジメント系」の分野で、品質管理や問題解決の手法として頻繁に出題される重要なテーマです。その概念や作成方法、活用法を正しく理解しておくことは、ITパスポート合格はもちろんのこと、実社会での問題解決能力を高める上で不可欠な素養となります。

この記事では、パレート図の基本概念から、「パレートの法則」との関連、具体的な作成手順、そして効果的な読み取り方・活用方法までを、ITパスポート受験者の方々が迷うことなく理解できるよう、ゼロから徹底的にわかりやすく解説していきます。この記事を読み終える頃には、パレート図の全体像がクリアになり、試験対策だけでなく、日々の業務における課題解決にも役立つ知識が身についていることでしょう。

目次

パレート図とは何か?〜「重要少数」を見つけ出す魔法のグラフ〜

まず、パレート図の定義から見ていきましょう。

パレート図とは、問題を引き起こしている要因を項目別に分類し、その発生頻度や影響度(金額など)が大きい順に並べた棒グラフと、その累積構成比を示した折れ線グラフを組み合わせたグラフのことです。

グラフの左側から順に棒グラフが並び、右肩上がりの折れ線グラフがそれに重なる形をしています。

例えるなら、お店の売上を分析する時に、「どの商品が一番売れているか」「売上の大半を占めているのはどの商品か」を一目でわかるようにするグラフのようなものです。

「パレートの法則(80:20の法則)」との関連

パレート図を理解する上で欠かせないのが、「パレートの法則(Pareto Principle)」です。これはイタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが提唱した法則で、別名「80:20の法則」とも呼ばれます。

パレートの法則とは、 「結果の80%は、原因の20%から生み出される」 という経験則です。

身近な例を挙げると、

  • 企業の売上の80%は、顧客全体の20%から来ている。
  • 製品の欠陥の80%は、全原因のうち20%の要因から発生している。
  • プロジェクトの遅延の80%は、少数の重要な問題(原因の20%)によって引き起こされている。

など、様々な分野でこの法則が当てはまると言われています。

パレート図は、この「80:20の法則」を視覚的に表現し、「重要少数(重要な20%の原因)」が「自明多数(結果の80%)」にどれだけ影響を与えているかを明確にするための強力なツールなのです。

パレート図の目的

パレート図を用いる主な目的は以下の通りです。

  1. 問題の主要因の特定: 多数ある問題点や要因の中から、最も大きな影響を与えている「重要少数」を見つけ出します。
  2. 改善活動の優先順位付け: 限られた資源(時間、人員、予算)をどこに集中すべきか、最も効果的な対策を講じるべき要因を明確にします。
  3. 改善効果の評価: 対策実施後に再度パレート図を作成し、問題が改善されたかどうか(主要因の順位や比率が変化したか)を客観的に評価します。

パレート図の構成要素

パレート図は、主に以下の要素で構成されています。

  1. 棒グラフ:
    • 各項目(問題の原因、種類など)の発生件数や金額などの絶対値を表します。
    • 通常、左側から右側へ、**値の大きい順(降順)**に並べられます。
    • 左側の縦軸(Y軸)に、この棒グラフの目盛り(件数や金額)が表示されます。
  2. 折れ線グラフ(累積構成比):
    • 左から数えて、その項目までの**累積の割合(%)**を示します。
    • 右側の縦軸(Y軸)に、この折れ線グラフの目盛り(0%から100%)が表示されます。
    • この折れ線グラフが急上昇している部分、特に80%近くに達する部分に注目することで、主要な要因を特定できます。
  3. 項目(要因):
    • グラフの横軸(X軸)に表示される、データの分類項目(例:クレームの種類、障害の原因区分など)です。通常、最も多い要因から順に並びます。
  4. タイトル:
    • グラフが何を示しているか、期間はいつかなどを明確に記述します。

パレート図の作成手順

では、実際にパレート図をどのように作成していくか、具体的な手順を見ていきましょう。ITパスポート試験で作成手順が直接問われることは稀ですが、作成方法を理解することで、グラフの読み取りがよりスムーズになります。

今回は例として、「ITサービスデスクへの問い合わせ内容」をパレート図で分析するケースを考えます。

  1. データ収集:
    • 期間:過去1ヶ月間
    • データ:ITサービスデスクに寄せられた問い合わせ内容とその件数
    問い合わせ内容件数印刷できない30パスワード忘れ25ネットワーク接続15アプリケーション起動10メールの送受信8その他12合計100
  2. 項目と件数の集計:
    • 上記の表のように、既に集計済みとします。
  3. 降順に並べ替え:
    • 件数の多い順に並べ替えます。
    問い合わせ内容件数印刷できない30パスワード忘れ25ネットワーク接続15その他12アプリケーション起動10メールの送受信8合計100
  4. 累積構成比の計算:
    • 各項目の「構成比」(その項目が全体に占める割合)と「累積構成比」(その項目までの合計が全体に占める割合)を計算します。
    問い合わせ内容件数構成比 (%)累積構成比 (%)印刷できない3030%30%パスワード忘れ2525%55% (30+25)ネットワーク接続1515%70% (55+15)その他1212%82% (70+12)アプリケーション起動1010%92% (82+10)メールの送受信88%100% (92+8)合計100100%
  5. グラフの作成:
    • 上記のデータをもとに、棒グラフ(左軸:件数)と折れ線グラフ(右軸:累積構成比)を作成します。
      • 横軸に「問い合わせ内容」を件数の多い順に並べる。
      • 左縦軸に「件数(0〜100)」、右縦軸に「累積構成比(0%〜100%)」を設定する。
    (※ここでは実際のグラフは描けませんが、上記データからイメージしてください。)
  6. タイトル・軸ラベルの付与:
    • 例:「ITサービスデスク問い合わせ内容分析(過去1ヶ月間)」

パレート図の読み取り方・活用方法

作成したパレート図は、以下のポイントに注目して読み解き、活用します。

  1. 「重要少数」の特定:
    • 折れ線グラフが急上昇している部分、特に累積構成比が80%に達するまでの項目に注目します。これが「重要少数」であり、問題全体の大部分を占める主要因となります。
    • 上記の例では、「印刷できない」(30%)、「パスワード忘れ」(25%)、「ネットワーク接続」(15%)の3つで累積70%を占めます。さらに「その他」まで含めると82%となり、この4つが全体の8割以上の問い合わせを占めていることが分かります。
  2. 改善活動の優先順位付け:
    • 特定した「重要少数」の項目から優先的に対策を講じることで、効率的に全体の問題を改善できます。
    • 「印刷できない」と「パスワード忘れ」の対策をすれば、全体の問い合わせ件数の約半分以上を削減できる可能性がある、と判断できます。限られたリソースを最も効果的な部分に集中できるのが、パレート図の最大のメリットです。
  3. 改善効果の評価:
    • 対策を実施した後、再度同様のパレート図を作成します。
    • 対策前と後のパレート図を比較することで、
      • 主要因の棒グラフの高さが下がったか?
      • 主要因の順位が入れ替わったか?(別の要因が主要因になったなど)
      • 全体の件数が減ったか?
    • などを確認し、対策の効果を客観的に評価できます。

パレート図のメリットとデメリット

パレート図は非常に有用なツールですが、その限界も理解しておくことが重要です。

メリット

  • 視覚的に分かりやすい: 問題の主要因と優先順位が一目で理解できます。
  • 優先順位付けが容易: どこから改善に着手すべきか、明確な指針を与えてくれます。
  • 改善効果の評価: 対策前後の比較により、効果の有無や程度を客観的に判断できます。
  • 汎用性が高い: 品質管理(不良品分析、クレーム分析)、コスト管理(費用分析)、リスク管理(インシデント原因分析)、生産性分析など、様々な分野で活用できます。
  • データに基づいた意思決定: 経験や勘だけでなく、具体的な数値に基づいて意思決定を行うことができます。

デメリット

  • 因果関係は示さない: パレート図は「何が主要因か」は示しますが、「なぜそれが起きるのか」という根本的な原因までは示しません。根本原因を探るには、別途「特性要因図(フィッシュボーン図)」などの分析ツールと組み合わせる必要があります。
  • 数値化できない問題には不向き: 「従業員のモチベーション低下」や「チームワークの悪さ」など、定量的に測定しにくい問題には直接適用できません。
  • データ収集が前提: 正確で十分なデータがなければ、有効なパレート図は作成できません。データの偏りや不足は、誤った結論を導く可能性があります。
  • 「その他」項目の扱い: 「その他」の項目が大きすぎる場合、その中に重要な要因が隠れている可能性があるため、さらに細分化して分析する必要がある場合があります。

ITパスポート試験対策としてのパレート図

ITパスポート試験においてパレート図は、「ストラテジ系(品質管理、問題解決)」や「マネジメント系(プロジェクトマネジメント)」の知識として出題される可能性があります。

出題される可能性のあるポイント

  • パレート図の定義: 棒グラフと折れ線グラフ(累積構成比)の組み合わせであること。
  • パレートの法則(80:20の法則)との関連: 「重要少数が結果の大部分を占める」という概念。
  • パレート図の目的・用途: 主要因の特定、改善優先順位付け、効果測定。
  • グラフの読み取り方: 棒グラフの降順、累積構成比が80%に達する部分の重要性。
  • 他のツールとの関連: パレート図は原因を特定するが、根本原因分析には特性要因図などと併用されること。

学習のポイント

  • 「視覚的に問題点と優先順位が分かるグラフ」というイメージをしっかりと持つこと。
  • 「パレートの法則」と結びつけて覚えること。
  • メリットとデメリット、特に「因果関係は示さない」という点を押さえておくこと。
  • 実際の問題解決の場面で、どう役立つかを想像しながら学ぶと、理解が深まります。

パレート図に関する問題(令和6年 問51)

システム開発プロジェクトにおいて、テスト中に発見された不具合の再発防止のために不具合分析を行うことにした。テスト結果及び不具合の内容を表に記入し、不具合ごとに根本原因を突き止めた後に、根本原因ごとに集計を行い発生頻度の多い順に並べ、主要な根本原因の特定を行った。ここで利用した図表のうち、根本原因を集計し、発生頻度順に並べて棒グラフで示し、累積値を折れ線グラフで重ねて示したものはどれか。

 ア.  散布図     

イ.  チェックシート   

ウ.  特性要因図       

エ.  パレート図

出典:令和6年度 ITパスポート試験公開問題 問51

正しいと思う選択肢をクリックしてみてください!!!

ア.  散布図 

不正解です。

イ.  チェックシート   

不正解です。

ウ.  特性要因図 

不正解です。

エ.  パレート図

正解です。

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