こんにちは!歴史的建造物を訪ね歩き、その空間が持つ物語や、建築様式の奥深さに触れるのが大好きなRyo1です。都心にこれほどまでに豊かな歴史と、個性的な建築物が息づく場所があることに、いつも感動と驚きを感じています。
今回は、そんな私の探求心を強く刺激する企画展が、港区の歴史と文化を伝える『港区立郷土歴史館』で開催されていると知り、早速足を運んできました。その名も『交わる建築 旧公衆衛生院×旧朝香宮邸』。同じ白金台エリアにあり、同時代に建てられた、二つの異なる様式を持つ名建築を比較するという、非常にユニークな企画です。
私が実際に8月上旬のこのギャラリー展を訪れて感じた、旧公衆衛生院(港区立郷土歴史館)と旧朝香宮邸(東京都庭園美術館)という二つの建物のそれぞれの魅力、建築様式に込められた思想、そして時を超えて現代に息づく建築美について、建築や歴史に興味がある方、レトロモダンな建物が好きな方、そして特別な体験を探している方に向けて、写真と共にお届けします!
「港区にこんな建物があるの?」「二つの名建築を一度に楽しめるの?」そんな疑問をお持ちのあなたに、きっと新たな発見と、五感を刺激する感動があるはず。ぜひ最後まで読んで、建築が語る歴史の物語を感じてくださいね!



はじめに:なぜ今、この『交わる建築』展を選んだのか?~二つの名建築の対話~
東京には数多くの美術館や歴史的建造物がありますが、今回私が港区立郷土歴史館の『交わる建築』展を選んだのには、明確な理由があります。
一つは、「同じ時代、同じ地域に建てられた異なる様式の建築物を比較する」という、そのコンセプトに強く惹かれたからです。東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)がアール・デコ様式、そして港区立郷土歴史館(旧公衆衛生院)が内田ゴシックと呼ばれている内田独自の意匠が採用されていて、それぞれ異なる思想と美意識に基づいて建てられた名建築です。この二つの建物が、お互いを意識し、対話しているかのように比較されるという企画は、建築ファンにとって究極のテーマだと言えるでしょう。
二つ目は、この企画展が、東京都庭園美術館との共催であり、期間中に両館を巡ることで特典として特別なポストカードがもらえるという、非常にユニークな体験型のイベントだったからです。二つの名建築をただ見るだけでなく、その企画に参加することで、より深く、そして楽しく建築の世界に浸れるだろうと期待しました。
そして三つ目は、その「歴史的背景」です。両館とも、1930年代という、昭和初期の激動の時代に建てられています。戦前・戦後、それぞれの建物が担った役割や、そこで繰り広げられた物語を知ることで、建築物という無機質な存在が、人々の生活や歴史と深く結びついていることを再認識できるだろうと考えました。
これらの思いを胸に、私は今回、この特別な企画展へと足を運びました。

港区立郷土歴史館へのアクセス:歴史と現代が交差する地へ
港区立郷土歴史館は、東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線「白金台駅」徒歩1分という、非常にアクセスしやすい場所にあります。
館内に入ると、ロビーは広々としており、静かで落ち着いた空気が流れています。まずは、この旧公衆衛生院という建物の「機能の変遷」と、建物の建築美を楽しみながら、企画展の会場へと向かいました。




『交わる建築』展のギャラリー巡り:二つの名建築の比較と対話
この企画展は、港区立郷土歴史館のギャラリーを会場に、パネルや写真、そして模型などを通して、二つの建物の建築的な特徴や歴史を比較し、紹介するものです。





建築様式にみる「思想の違い」
展示の冒頭で最も興味深かったのが、両建物の「建築様式とそれに込められた思想の違い」です。
- 旧朝香宮邸(東京都庭園美術館): この建物は、アール・デコ様式の傑作として知られています。アール・デコは、1920年代にパリで花開いた装飾芸術であり、直線と曲線、幾何学模様を多用し、豊かな装飾性と、工芸的な美しさが特徴です。展示パネルには、朝香宮夫妻がパリで受けた刺激や、フランスのガラス工芸家ルネ・ラリックの作品に触発された経緯などが詳しく紹介されており、その華やかな美意識が建物全体に凝縮されていることが分かります。 また、旧朝香宮邸の設計者である宮内省内匠寮の建築技師・権藤要吉が、欧州で建築を研究した際に得た知見も、この建物に活かされています。
- 旧公衆衛生院(港区立郷土歴史館): 一方、この建物は、地下1階、地上6階、搭屋4階、延床約15,000㎡のこの建造物は、昭和13(1938)年10月、内田祥三の設計、大倉土木の施工により公衆衛生院として竣工しました。建設資金として米国ロックフェラー財団の援助を受けています。内田ゴシックと呼ばれている内田独自の意匠が採用されています。垂直にのびた中央棟と左右に広がる翼状の棟から構成された左右対称の威厳ある外観が特徴的で、入り口部分にはリズミカルな5連アーチが設けられ、来館者を迎え入れます。玄関を抜けると2・3階吹き抜けの中央ホールが配され、背面に設置された大窓とまわり階段、それらを装飾する金属製のレリーフで空間が構成されています。3階には、木質材が多用された院長室等が配され、上質な仕上げとなっています。このほか、公衆衛生院時代に式典や研究発表の場として利用されていた340席を有する講堂や、図書閲覧室及び、書架等が建設当初の姿のまま残されています。
同じ時代、同じ白金台という地域にありながら、一方は「美と装飾」、もう一方は「機能と合理性」を追求した建築物が建てられたという事実は、当時の日本の建築家たちが、いかに多様な西洋の思想を取り入れ、独自の建築を創造しようとしていたのかを物語っており、非常に興味深いものでした。
建物が担った「機能の変遷」:歴史を語る空間
この企画展の最大の面白さは、両建物の「機能の変遷」に焦点を当てている点です。
- 旧朝香宮邸: 邸宅→吉田茂公邸→迎賓館→美術館、というように、建物がその役割を変えながらも、その空間の美しさは損なわれることなく、時代を超えて人々を魅了し続けていることが分かります。特に、美術館として生まれ変わったことで、かつての華やかな邸宅の空間が、アートを鑑賞する特別な場として活用されているという事実は、非常に興味深いです。
- 旧公衆衛生院: 公衆衛生の研究施設→港区立郷土歴史館、というように、この建物もまた、その時代のニーズに合わせて役割を変え続けてきました。特に、戦後の日本人の衛生環境改善に貢献したという歴史は、公衆衛生の重要性を再認識させてくれます。そして今、地域の歴史を伝える「郷土歴史館」として、人々の学びの場となっているという事実は、建物の持つ社会的役割の重要性を示しています。
この「機能の変遷」という視点から二つの建物を比較することで、単なる建築様式の違いだけでなく、その建物が、時代や人々の生活と深く結びついた「生きた存在」であることを強く感じました。
特典「ポストカード」と「両館巡り」体験
今回の企画展は、東京都庭園美術館との共催企画です。この展覧会開催中に、両館を訪れた来館者には特典として特別なポストカードが配布されます。最初に訪れた施設の配布パネルを撮影し、その写真をもう一方の施設で提示することで受け取ることができます。
私はこの企画に参加するため、港区立郷土歴史館で展示を鑑賞した後、東京都庭園美術館の『建物公開2025 時を紡ぐ館』展にも足を運びました。この「両館巡り」は、今回の体験を非常に特別なものにしてくれました。
企画展の展示で得た知識を基に、実際に両方の建物を歩き、それぞれの建築様式や素材、そして空間が持つ「空気」を五感で比較・体感することができたのです。港区立郷土歴史館の理性的で機能的な空間から、東京都庭園美術館の装飾的で華やかな空間へ。このギャップが、両建物の魅力をさらに際立たせ、忘れられない建築体験となりました。
この「両館巡り」という仕掛けは、多くの人に、普段はあまり意識しない「街の建築」に目を向けるきっかけを与えてくれる、素晴らしい試みだと感じます。

港区立郷土歴史館の魅力:歴史と現代が交差する地へ
今回の企画展だけでなく、港区立郷土歴史館自体も、非常に魅力的で学ぶことの多い施設です。
- 旧公衆衛生院という建物そのものの魅力: 本館の建物自体が、日本のモダニズム建築を代表する歴史的建造物であり、館内を歩くだけでもその建築美を堪能できます。特に、階段や廊下、窓の作りなど、細部にまで機能性と美しさが両立しているのが分かります。
- 現代的な施設: 建物は新しく、展示も分かりやすく工夫されています。
- 図書館併設: 同じ建物内に図書館が併設されており、より深く歴史を調べたり、読書を楽しんだりすることもできます。
港区に住む人々、働く人々、そして訪れる人々にとって、この場所は、地域の歴史と文化を「身近に」感じ、学びを深めるための、貴重な存在だと感じました。

『交わる建築』展の総評:建築が語る、もう一つの近代史
港区立郷土歴史館で開催された『交わる建築 旧公衆衛生院×旧朝香宮邸』展は、私の想像をはるかに超える、知的に深く、そして五感を刺激する「建築体験」でした。
アール・デコという華やかな装飾性と、機能的で理性的な美しさ。一見、対立する二つの様式が、同じ時代、同じ地域に共存していたという事実に、当時の日本の近代化における多様な価値観と、建築家たちの情熱を強く感じました。
そして、その二つの建物を実際に巡ることで、パネルの知識が、空間の「空気」というリアルな体験として心に刻まれました。建築が、単なる住居や施設ではなく、その時代の思想、人々の暮らし、そして歴史の物語を雄弁に語る「語り部」であることを、強く実感させてくれます。
この企画展は、建築や歴史に興味がある方はもちろん、街歩きが好きな方、そして普段あまり意識しない身近な建物の奥深さに触れてみたい方にとって、まさに必見です。この夏、この特別な企画展が、多くの人に、街に眠る歴史的な名建築に目を向けるきっかけを与えてくれるでしょう。
この記事が、あなたの港区立郷土歴史館『交わる建築』展への訪問、そして二つの名建築を巡る旅のきっかけとなれば嬉しいです!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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