心臓は、全身に血液を送り出すために、規則正しく収縮と拡張を繰り返しています。 このリズムを刻むのが、心臓内の電気信号です。
しかし、何らかの原因でこの電気信号の伝わり方に異常が生じると、心臓のリズムが乱れてしまうことがあります。 これが不整脈です。不整脈の中には、動悸やめまい、息切れなどを引き起こすものもあり、日常生活に支障をきたすこともあります。
そこで、近年注目されているのが、カテーテルアブレーション手術という治療法です。
今回は、カテーテルアブレーション手術について、その仕組みからメリット・デメリット、そして実際の手術体験談まで、詳しく解説していきます。
カテーテルアブレーション手術とは?
カテーテルアブレーション手術は、不整脈の原因となっている心臓内の異常な電気信号の発生源を、カテーテルを使って焼き切る治療法です。
具体的には、足の付け根や首などの血管から、細い管状のカテーテルを心臓まで挿入します。 カテーテルの先端には、電極やセンサーが付いており、心臓内の電気信号の状態を詳しく調べることができます。
そして、不整脈の原因となっている部分を特定し、高周波電流や冷凍凝固などを用いて、その部分を焼き切ります。

参考)https://osaka-heart.jp/patient/cardiovascular-disease/arrhythmia/ablation/
カテーテルアブレーション手術が適応となる不整脈
カテーテルアブレーション手術は、様々な種類の不整脈に有効です。 代表的なものとしては、以下のような不整脈が挙げられます。
- 発作性上室性頻拍(PSVT): 突然始まり、突然終わるタイプの頻脈。
- WPW症候群など
- 心房細動: 心房が細かく震えるように動く不整脈。
- 心房粗動: 心房が規則正しく速く beat ちすぎる不整脈。
- 心室頻拍: 心室が速く beat ちすぎる不整脈。

カテーテルアブレーション手術のメリット
カテーテルアブレーション手術には、以下のようなメリットがあります。
- 高い治療効果: 多くの不整脈において、高い治療効果が期待できます。 特に、発作性上室性頻拍では、90%以上の方が、その後発作なく過ごすことができると言われています。
- 低侵襲性: 開胸手術に比べて、体への負担が少なく、傷も小さくて済みます。
- 回復が早い: 手術後、数日で退院できる場合が多く、日常生活に早く戻ることができます。
- 再発率が低い: 一度手術を受ければ、再発する可能性は低いと言われています。
カテーテルアブレーション手術のデメリット・リスク
カテーテルアブレーション手術は、比較的安全な手術ですが、以下のようなデメリットやリスクも存在します。
- 合併症のリスク: ごくまれに、出血、感染症、心タンポナーデ(心臓を包む膜の中に血液や体液が溜まる)、脳梗塞などの合併症が起こることがあります。
- 再発の可能性: 手術が成功しても、数年後に再発することがあります。
- すべての不整脈に有効ではない: 不整脈の種類や状態によっては、カテーテルアブレーション手術が適応とならない場合があります。

カテーテルアブレーション手術の流れ
血液検査、心電図検査、心臓超音波検査など、様々な検査を行い、手術を受けることができる状態かどうかを評価します。
手術室に入り、点滴や心電図モニターなどを装着します。 局所麻酔を行い、足の付け根や首などからカテーテルを挿入します。
カテーテルを心臓まで進め、不整脈の原因となっている部分を特定します。
高周波電流や冷凍凝固などを用いて、不整脈の原因となっている部分を焼き切ります。
カテーテルを抜去し、止血します。 数時間安静にした後、病室に戻ります。
カテーテルアブレーション手術の体験談
実際にカテーテルアブレーション手術を受けた方の体験談を紹介します。

私は、発作性上室性頻拍に悩まされていましたが、カテーテルアブレーション手術を受けてから、発作が起こることはなくなりました。 手術前は不安でしたが、手術自体は思ったよりも楽で、回復も早かったです。 今では、以前のように、運動や旅行を楽しむことができるようになりました。

まとめ
カテーテルアブレーション手術は、不整脈治療の最前線と言える治療法です。 高い治療効果、低侵襲性、回復の早さなど、多くのメリットがあります。
不整脈で悩んでいる方は、一度、循環器内科の医師に相談してみることをおすすめします。
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