長野県の秘境、佐久市岩村田で出会える「ヒカリゴケ」は、まるで自然が生んだ宝石のように美しく輝く不思議な苔になります。この珍しい自然現象を目にするため、観光客がこの地を訪れます。今回は、そんな「岩村田ヒカリゴケ」の魅力とその秘密に迫り、観光情報も併せてご紹介します。
ヒカリゴケとは?
「ヒカリゴケ」は、特別な条件下で光を反射することで、暗闇の中で美しく光る苔の一種です。学術名はSchistostega pennataで、日本では天然記念物に指定されている場所も少なくありません。(岩村田ヒカリゴケは国の天然記念物に指定しています。)
ヒカリゴケが光る理由は、葉の中にある特殊な細胞が光を集め、反射することにあります。この反射光が、暗闇で光って見える現象を引き起こします。特に、洞窟や岩陰など、直射日光が当たらない暗い場所で見られることが多いです。
ヒカリゴケは北半球北部の寒冷な地域を中心に分布し、植物学会で最初に確認されたのは1780年頃にイギリスの学会で報告されたものとされています。その後もドイツでの自生報告や、1863年にはオーストリアの植物学者アントン・ヨーゼフ・ケルナーによる報告などから、ヨーロッパを中心として生育が確認されていました。しかし、日本国内では、確認されておらず一般に知られるコケではありませんでした。
岩村田のヒカリゴケの発見経緯
岩村田ヒカリゴケ産地が発見された経緯は、1910年(明治43年)の春、当時の旧制野沢中学校(現在の長野県野沢北高等学校)の生徒が、通学途中にある現指定地の崖にある洞窟内で「光る土」を見つけたことがきっかけになります。生徒は、光る土を採集すると学校へ届けると、これを見た同校教諭の小山海太郎は採取されたコケを含む土壌を植物学者の三好学(東京帝國大学教授)へ送付し鑑定を依頼しました。三好はこれを培養する等の検証を重ね調査し、その結果「ヒカリゴケ」であると同定しました。
三好は、ヨーロッパ諸国や北米に見られるヒカリゴケが、これまで日本国内では発見や報告事例がなかったことを承知しており、このヒカリゴケの同定により、岩村田の小さな洞窟は日本国内で最初にヒカリゴケの生育が確認された場所として学会へ報告されました。
指定地の洞穴は、佐久市教育委員会により、2016年10月から週に1回、ヒカリゴケの繁殖状況や、洞内に設置された電気式の温度計および湿度計による観測をしています。ヒカリゴケの生育には、気温だけでなく湿度が重要な環境要因であるが、佐久市による観測の結果、岩村田ヒカリゴケ産地の洞穴内部は、特に春から秋にかけての湿度が80 %から90 %というヒカリゴケの生育に適した環境であることが改めて確認されました。佐久市により繁殖状況の確認、洞穴内外の管理や保護が継続的に行われています。
岩村田ヒカリゴケの見どころ
岩村田ヒカリゴケの見どころは以下の通りです。
- ヒカリゴケ観察スポット
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岩村田ヒカリゴケでは、洞窟の岩陰でヒカリゴケを観察することができます。ここでは、自然のままに保存された環境の中でヒカリゴケを観察することができ、まさに「信州の秘境」と呼ぶにふさわしい場所です。
- 見頃と訪問の注意点
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ヒカリゴケは、暗い場所で光る性質があるため、日中よりも曇りの日や夕方以降の時間帯に訪れると、その光の美しさを最大限に楽しめます。ただし、洞窟や岩場に入る際は滑りやすいので、しっかりとした靴を履いて注意深く行動しましょう。
岩村田ヒカリゴケのアクセス
岩村田ヒカリゴケのアクセスは以下の通りです。
- JR小海線 岩村田駅 下車 徒歩約25分
- 上信越自動車道佐久インターチェンジから約2キロメートル、車で約5分
まとめ
岩村田ヒカリゴケは、自然の神秘を感じることができる素晴らしいスポットになります。もし、この記事を読んでヒカリゴケに興味を持たれた方がいれば、ぜひ実際に足を運んで、その美しさを体感してみてください。
また、訪問後には感想をコメントでシェアしていただけると嬉しいです。あなたの体験談をお待ちしています!
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