本講座では、統計の基本から応用までの知識を身に付けることができる講座になっております。そこで、第1回では、「確率と確率変数①」として、統計学の知識として必要な確率と、確率変数について紹介していきます。(高校数学を履修レベルが、前提の講座になっています。)
「くじを引く」のように、結果が偶然に左右される実験や観測を試行といいます。試行に対する一つ一つの結果を標本点、あるいは根元事象といい、その集合を事象といいます。
なお、集合である事象の用語は以下の通りです。
上記確率の定義を用いることで、次のような確率の性質を得る事が出来ます。
条件付きの確率の計算において、次の定理が有用です。
上記で紹介したベイズの定理を用いて以下の例題を求める事が出来ます。
機械 a, b で60%, 40% の割合で作られている製品がある。各機械a, b から1%, 0.5%の不良が出ることが経験的にわかっている。製品全体から適当に取り出した1個が不良品である時、それが機械aで作られている確率を求める。
サイコロを1回投げるという試行に対して、出る目の値をXとすると、Xは1〜6までの整数値を1/6ずつの確率でとる変数です。このようなある確率に基づいた試行の結果により値が定まる変数を確率変数と呼びます。また、このXのように、とりうる値が飛び飛びであるような確率変数を離散型確率変数と呼びます。
上記、離散型確率変数に関する例を紹介します。
確率pで当たるルーレットをn回行う時に当たる回数をxとすると、これはとりうる値が 0, 1, …, nである離散型確率変数である。その確率変数を求める。
電池の寿命のようにとりうる値が飛び飛びでなく、連続的な確率変数を連続型確率変数といいます。連続型確率変数においては、とりうる値全てに正の確率を与えると確率の総和が無限大となってしまうので、確率は以下のように区間に対して与えらます。
上記、連続型確率変数に関する例を紹介します。
ある原始的な生物種を1つ持ってきて測ることを想定し、その大きさをXと表すことにする。同じ生物種でも個体差を伴うが故に様々な値をとり得る連続型確率変数で、この時の定数をμとσ(>0)として、確率密度関数をもつXの分布を求める。
上記、分布関数に関する例を紹介します。
連続型確率変数の例(例1-3)の続きを考える。N(0,1)の分布関数をφ(•)とすれば、N(μ,σ^2)に従うXの分布関数を求める。
◆出題用語(本講座で出題された用語をまとめます。下記用語の意味がわからない場合は本講座を復習してみてください。)
- 全事象
- 空事象
- 余事象
- 和事象
- 積事象
- 排反
- 確率
- 統計的独立
- 条件付き確率
- ベイズの定理
- 確率変数
- 離散型確率変数
- 二項分布
- ベルヌーイ分布
- 連続型確率変数
- 確率密度関数
- 正規分布
- 標準正規分布
- 分布関数
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