「イノベーションのジレンマ」「FinTech」の解説

2020年12月13日

イノベーションのジレンマとは?

「イノベーションのジレンマ」とは、 業界トップなどの優良企業が、顧客のニーズを取り入れた新機能の付与や新技術による性能向上に注力し、高品質なサービスを提供することがイノベーションに立ち遅れシェア確保の失敗を招くという事象のことです。

既存の技術やサービスを提供する企業は、通常、製品・サービスの改善・改良を積み重ね「持続的技術による進歩」に努めます。一方で、「破壊的イノベーション」により、全く異なった技術により、製品・サービスが現れることがあるが、誕生直後は「市場のローエンドで求められる性能」(市場の要求)を満たさず既存の技術(製品・サービス)には敵わないことが多いです。

しかし、「破壊的イノベーション」により誕生した異なった新たな技術でも持続的な進歩を続けることで、市場の要求を満たすと置き変えが急激に発生します。既存技術で製品・サービスを提供する企業にとって、既存の技術やサービスの「持続的技術による進歩」に見切りをつけ、「破壊的イノベーション」へ移ることは極めて難しいと言われています。

ここで、「破壊的イノベーション」により、既存の技術による製品・サービスが置き換わった例を紹介します。(既存製品・サービス:新製品・サービス)

  • カメラ:カメラ付きスマホ(携帯電話)
  • PC:スマホ(タブレット)
  • 新聞:WebNews(Yahooニュース、Lineニュースなど)

イノベーションのジレンマに関する問題

◆確認問題

イノベーションのジレンマに関する記述として,最も適切なものはどれか。
 ア.  最初に商品を消費したときに感じた価値や満足度が,消費する量が増えるに従い,徐々に低下していく現象
 イ.  自社の既存商品がシェアを占めている市場に,自社の新商品を導入することで,既存商品のシェアを奪ってしまう現象
  ウ.  全売上の大部分を,少数の顧客が占めている状態
   エ.  優良な大企業が,革新的な技術の追求よりも,既存技術の向上でシェアを確保することに注力してしまい,結果的に市場でのシェアの確保に失敗する現象

出典:令和元年度 秋期 ITパスポート試験公開問題 問17

◆確認問題の解答(エ)、解説・・・各選択肢の解説は、次の通り。

  • ア:「収穫逓減の法則」に関する記述です。
  • イ:「カニバリゼーション」に関する記述です。
  • ウ:「パレートの法則」に関する記述です。
  • エ:正解です。

Fin Tech とは?

「FinTech」とは、 「Finance(金融)」と「Technology(技術)」を組み合わせた造語であり、金融サービスと情報テクノロジー(ICT)を結びつけ様々な革新的な動きを指します。

「FinTech」は、これまで金融機関が行う業務の領域に、IT企業が参入し、決済、送金などのサービスをITテクノロジー(ICT)を活用することで、新たな形へと進化させる金融サービスであり、以下などが事例として挙げられます。

  • モバイル決済:PayPay、RakutenPay、LinePay、auPay、D払いなど
  • 仮想通貨:DMMBitcoin、Coincheck、bitcoin、bitFlyerなど
  • 家計簿・貯蓄:Money Forward、MoneyTree、zaimなど

Fin Techに関する問題

◆確認問題

銀行などの預金者の資産を,AIが自動的に運用するサービスを提供するなど,金融業においてIT技術を活用して,これまでにない革新的なサービスを開拓する取組を示す用語はどれか。
 ア.   FA
   イ.  FinTech
  ウ.  OA
   エ.  シェアリングエコノミー

出典:令和元年度 秋期 ITパスポート試験公開問題 問18

◆確認問題の解答(イ)、解説・・・各選択肢の解説は、次の通り。

  • ア:「FA」とは、「Factory Automation」の略であり、工場設備や産業ロボット導入により、工場の自動化をすることです。
  • イ:正解です。
  • ウ:「OA」とは、「Office Automation」の略であり、事務機器や事務作業の自動化をすることです。
  • エ:「シェアリングエコノミー」とは、「共有経済」と呼ばれ、物やサービスを所有するのではなく、インターネットを介し、個人間で使っていないモノ・場所・技能などの貸し借りや売買をすることで、共有する経済活動のことです。