フェルミ推定とは?
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突然だけど、この教室に鉛筆は何本あると思う?

えーっと…、10本くらい?

実は、正確に数えなくても、だいたいの数を推測する方法があるんだ。 それが、今日勉強する「フェルミ推定」だよ!

フェルミ推定…?

そう!フェルミ推定は、一見、見当もつかないような量を、 いくつかの仮定を置いて、論理的に推測していく方法なんだ。

???

例えば、教室の鉛筆の本数を推測したいとしよう。 まず、この教室には生徒が30人いるとする。 そして、1人の生徒が平均2本の鉛筆を持っていると仮定する。 そうすると、教室全体の鉛筆の本数は、30人 × 2本/人 = 60本 と推測できるよね。

なるほど!

でも、先生も鉛筆を持っているかもしれないし、 予備の鉛筆が置いてあるかもしれない。 だから、もう少し多めに考えて、70本くらいと推測することもできる。

へぇー。

こうやって、 「この教室には生徒が何人いるか」 「1人の生徒が平均何本の鉛筆を持っているか」 といった、より簡単な問題に分解して考えていくことで、 最終的に、教室の鉛筆の本数を推測することができるんだ。

面白い!

フェルミ推定は、 「東京都内にあるマンホールの総数」 「地球上に蟻は何匹いるか」 といった、実際に数えるのが難しいような問題にも応用できるんだ。

すごい!

フェルミ推定では、 必ずしも正確な答えを求める必要はないんだ。 重要なのは、限られた情報の中で、 論理的に考えて、 妥当な範囲で答えを推測することなんだよ。
フェルミ推定の概要
フェルミ推定とは、一見、見当もつかないような量を、いくつかの仮定を置いて、論理的に推測していく方法です。物理学者エンリコ・フェルミが、学生に対して「シカゴにはピアノ調律師は何人いるか?」という問題を出したのが始まりとされています。
フェルミ推定では、必ずしも正確な答えを求める必要はありません。限られた情報の中で、論理的に考えて、妥当な範囲で答えを推測することが重要です。
フェルミ推定の手順
フェルミ推定は、一般的に以下の手順で行います。
問題文をよく読み、何を推定する必要があるのかを明確に理解します。
問題を解決するために必要な仮説を設定します。この際、常識的な範囲で、できるだけ現実的な仮説を設定することが重要です。
大きな問題を、より小さな問題に分解します。
設定した仮説に基づいて、論理的に計算を行い、答えを導き出します。
推定結果が妥当な範囲内にあるかどうかを検証します。必要があれば、仮説を見直したり、計算方法を修正したりします。
フェルミ推定の例題と解答
例題: 東京都内にあるマンホールの総数を推測しなさい。
解答例
東京都内にあるマンホールの総数を推測する問題です。
- 東京都の人口を1,400万人とする。
- 1人あたりが1日に1回マンホールを見る機会があると仮定する。
- マンホールの平均寿命を50年とする。
- 東京都の面積を2,194km²とする。
- マンホールの設置間隔を50mとする。
- 東京都内で1日に見られるマンホールの総数を計算する。
- マンホールの設置数を計算する。
- 1日に見られるマンホールの総数 = 1,400万人 × 1回/人 = 1,400万個
- 50年間で設置されるマンホールの総数 = 1,400万個/日 × 365日/年 × 50年 = 255,500,000個
- マンホールの設置密度 = 1個 / (50m × 50m) = 0.0004個/m²
- マンホールの設置数 = 0.0004個/m² × 2,194km² × 1,000,000m²/km² = 877,600個
- よって、東京都内にあるマンホールの総数は、約88万個と推測される。
実際に東京都内にあるマンホールの総数は公表されていませんが、この推定結果は、直感的に考えても妥当な範囲内にあると考えられます。
フェルミ推定のコツ
フェルミ推定をうまく行うためのコツをいくつか紹介します。
- 常識的な範囲で仮説を設定する: あまりにも非現実的な仮説を設定してしまうと、推定結果が大きくずれてしまう可能性があります。
- 問題を分解する: 大きな問題を、より小さな問題に分解することで、推定しやすくなります。
- 単位に注意する: 計算を行う際には、単位を揃えるように注意しましょう。
- 概算を活用する: 複雑な計算は、概算で済ませることで、計算を簡略化することができます。
- 情報を有効活用する: 問題文に与えられた情報は、最大限に活用しましょう。
- 練習を重ねる: フェルミ推定は、練習を重ねることで、精度を高めることができます。
関連するIT用語
フェルミ推定と関連性の高いIT用語をいくつか紹介します。
- ビッグデータ: 大量かつ多様なデータのこと。フェルミ推定では、ビッグデータを活用することで、より精度の高い推定を行うことができます。
- データ分析: データを分析し、有益な情報を取り出すこと。フェルミ推定は、データ分析の一種と考えることもできます。
- アルゴリズム: 問題を解決するための手順を明確に示したもの。フェルミ推定では、アルゴリズム的な思考が求められます。
フェルミ推定に関する問題(令和6年問9)
企業の戦略立案やマーケティングなどで使用されるフェルミ推定に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア. 正確に算出することが極めて難しい数量に対して、把握している情報と論理的な思考プロセスによって概数を求める手法である。
イ. 特定の集団と活動を共にしたり、人々の動きを観察したりすることによって慣習や嗜(し)好、地域や組織を取り巻く文化を類推する手法である。
ウ. 入力データと出力データから、その因果関係を統計的に推定する手法である。
エ. 有識者のグループに繰り返し同一のアンケート調査とその結果のフィードバックを行うことによって、ある分野の将来予測に関する総意を得る手法である。
出典:令和6年度 ITパスポート試験公開問題 問9
正しいと思う選択肢をクリックしてみてください!!!
ア. 正確に算出することが極めて難しい数量に対して、把握している情報と論理的な思考プロセスによって概数を求める手法である。
正解です。
イ. 特定の集団と活動を共にしたり、人々の動きを観察したりすることによって慣習や嗜(し)好、地域や組織を取り巻く文化を類推する手法である。
不正解です。「フィールドワーク」に関する記述です。
ウ. 入力データと出力データから、その因果関係を統計的に推定する手法である。
不正解です。「因果推論」に関する記述です。
エ. 有識者のグループに繰り返し同一のアンケート調査とその結果のフィードバックを行うことによって、ある分野の将来予測に関する総意を得る手法である。
不正解です。「デルファイ法」に関する記述です。
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