演繹推論・帰納推論 とは?
「演繹推論」とは、一般的に正しいとされるある事象から、妥当と考えられる結論を導き出す手法のことです。
「帰納推論」とは、複数のある事象(前提)から結論を導く思考法のことです。
演繹推論の構成としては、大前提→小前提→結論の形で論理が展開されていきます。
誰もが納得できる自明の前提からスタートし、その結果を元に結論を導き出していきます。複雑なテーマにおいても結論付けることができます。
例として、アリストテレスが確立した三段論法は、演繹法の代表例になります。
- 大前提:人は必ず死ぬ
- 小前提:ソクラテスは人だ
- 結論:ゆえにソクラテスはいつか死ぬ
「A = B」かつ「B = C」であれば、「A = C」であるといえます。
このように、一般論やルールなどを前提として結論を出すのが演繹法になります。そのため、前提そのものが間違っている場合は、誤った方向に結論が導かれてしまいます。
なお、演繹推論はビジネスの場面にも使えます。顧客の「理想」と「現状」という前提を踏まえた上で、サービスや解決策を提案する行為は、「演繹的思考」をしています。
また、新商品を開発する時にも、演繹法的思考が使われます。前提となる原理原則が重要となってくるのが演繹法になります。新しい商品やサービスを開発する際に、重要なのは、土台となる知識や技術になります。
どんなに画期的な新商品・サービスを開発したとしても、土台となる知識や技術が反映されていなければ、そのアイデアが採用されることは難しいかもしれません。
知識や土台とアイデアに、一貫性を持たせることができれば、受け入れられる可能性が高まります。
帰納法は、統計分析にも使用される方法で、大量のデータから傾向やパターンを理解し、推論を導いていきます。
結論は絶対的な真実とは限らず、前提を踏まえて論理的に正しい推論というのが、帰納法の特徴となります。
そのため、実例や状況証拠そのものに間違いがある場合や、そして共通点を探し出す際や共通点から推論を導く道筋に論理の飛躍があると、帰納法そのものが成り立ちません。
1つでも推論に反する実例があると、推論は一気に崩壊してしまいます。
例として、
前提:
- Aさんは死ぬ
- Bさんも死ぬ
- Cさんも死ぬ
結論:
ゆえに人は必ず死ぬ
前提:
- りんごにはビタミンが含まれる
- ぶどうにはビタミンが含まれる
- オレンジにはビタミンが含まれる
結論:
果物にはビタミンが含まれる
上記では、もしかしたら死なない人がいたり、果物にビタミンがない可能性はありますが、論理的に正しい結論となります。
帰納法と演繹法の違いは、帰納法では「複数の事象の共通点」から結論付けるのが特徴的ですが、演繹法は「複数の事象を関連付けて」から結論を出すのが特徴になります。
なお、帰納法は、データ分析や、マーケティングの場で登場します。
例として、
「男女数百人におにぎり購入に関するアンケートをとった結果、8割の人がコンビニでおにぎりを買うことに肯定的だった」
「コンビニエンスストアでおにぎりを買う人は毎年少しずつ増加している」
「別のアンケートではスーパでおにぎりを買わないという人の割合が5割を超えた」
という3つのデータがある場合、「コンビニのおにぎりの需要は今後も伸びる」と結論づけられます。帰納法は、前提に普遍的な事象があるかどうかは関係なく、一定以上のデータや事象の「事実としての質・量」があれば成り立ちます。
演繹推論・帰納推論に関する問題(令和4年問57)
推論に関する次の記述中のa,bに入れる字句の適切な組合せはどれか。
( a )は,個々の事例を基にして,事例に共通する規則を得る方法であり,得られた規則は( b )。
出典:令和4年度 ITパスポート試験公開問題 問57
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