「EA(Enterprise Architecture)」「請負契約の締結」の解説

2020年12月13日

EAとは、経営戦略とITを絡めた全体最適化によって、顧客ニーズをはじめとする社会環境や情報技術の変化に素早く対応するための構造です。

EAを実現することで、企業は統一された情報を効率良く、整備された業務プロセスを入手できるようになるため、生産性向上、利益率上昇、新たなビジネスの創出が期待できます。

EAとは、経営戦略とITを絡めた全体最適化する知識形態であり、かつフレームワークでもございます。EAは次の4つの要素で支えられています。

  1. ビジネスアーキテクチャ(BA)政策、業務体系:業務要件の識別や業務構成の考え方を指します。
  2. データアーキテクチャ(DA)データ体系:情報システムで利用するデータの統合、標準化などの考え方を指します。
  3. アプリケーションアーキテクチャ(AA)適用処理体系:個別システムと業務要件の対応関係や、個別システム間の互換性についての考え方を指します。
  4. テクノロジーアーキテクチャ(TA)技術体系:技術の変化を考慮した、情報基盤で採用すべき技術標準についての考え方を指します。

次に、EAの策定手順を紹介します。まず、EA成果物策定の前提作業をします。ここで、最適化に関する組織の目的と原則を決定します。

次に、EA成果物の策定作業を行います。具体的なEA成果物の策定は、次の通りです。

  • EA成果物の策定1(現状(AsIs)モデル分析):政策・業務体系分析や、データ体系分析を実施し、現状の業務を明確化します。適用処理体系分析や、技術体系分析を実施し、現状のシステムを明確化します。
  • EA成果物の策定2(理想(ToBe)モデルの設計・策定):組織の目的と原則を踏まえ、定められた方法論で、目指す業務・システム像、長期的な設計思想を確定させ、それらに即した理想(ToBe)モデルを策定致します。
  • EA成果物の策定3(次期モデルの設計・策定):理想(ToBe)モデルと現状(AsIs)モデルを対比し、現実的な次期システムの導入目標を決めます。

EA成果物の策定作業を完了した後は、EA成果物の改訂及び参照モデルの開発を行います。具体的には、EAを利用し、個々のシステムの基本設計、開発を進め、EAとして修正すべき点を確認する。また、EA成果物を徐々に修正し、関連する参照モデルの策定をします。利用結果が分かり次第、 問題点や、収集された情報を参照モデルに取り込んでいきます。

◆確認問題

EA(Enterprise Architecture)で用いられる、現状とあるべき姿を比較して課題を明確にする分析手法はどれか。
 ア.ギャップ分析
 イ.コアコンピタンス分析
   ウ.バリューチェーン分析
   エ.パレート分析

出典:平成31年度 春期 ITパスポート試験公開問題 問31

◆確認問題の解答(ア)、解説・・・各選択肢の解説は、次の通り。

  • ア:正解です。「ギャップ分析」とは、現状とあるべき姿を比較して課題を明確にする分析手法です。
  • イ:「コアコンピタンス分析」とは、自社の中核となる強みを分析する手法です。
  • ウ:「バリューチェーン分析」とは、主活動と支援活動に業務を分け、製品の付加価値がどこで生み出されているかを分析する手法です。
  • エ:「パレート分析」は、パレート図を用いて、分析対象の中から重点管理すべき要素を明確にする分析手法です。

「請負契約」とは、受注者が納期までに、発注者から依頼された仕事を完成させ、完成したものを発注者へ引き渡す契約のことです。(仕事の結果に対して責任が求められます。)民法632場などで定められています。

請負契約では、受注者は、発注者が依頼した仕事を完成させる必要があります。そのため、完成させた仕事が結果として、発注者の要求を満たさない場合は、受注者は報酬を請求できません。(完成義務・瑕疵担保責任)また、法律上、受注者は発注者に対し、報告義務が課されていません。なお、請負契約の場合、成果物を発注者へ納品することは原則必要となり、業務実施の費用負担は、受注者が負担するといった特徴がございます。

請負契約の他に、IT業界でよく結ばれる契約として、準委任契約がございます。

準委任契約では、仕事の完成ではなく、法律行為・行為以外の事務などの一定の作業・行為を行います。そのため、完成の過程に対する責任は問われますが(善管注意義務)、発注者の要求を満たさない場合でも、受注者は報酬を請求できます。しかし、法律上(民法645条)、受注者は発注者に対し、報告義務が課されています。なお、準委任契約の場合、成果物を発注者へ納品することは原則不要となり、業務実施の費用負担は、発注者が負担するといった特徴がございます。

一般的に、仕事の完結が求められる請負契約の方が、準委任契約契約より高い見積り金額になることが多いです。(同一作業を請負契約、準委任契約で見積りをした場合)

◆確認問題

ソフトウェアの開発において基本設計からシステムテストまでを一括で委託するとき、請負契約の締結に関する留意事項のうち、適切なものはどれか。
   ア. 請負業務着手後は、仕様変更による工数の増加が起こりやすいので、詳細設計が完了するまで契約の 締結を待たなければならない。 
 イ.開発したプログラムの著作権は、特段の定めがない限り委託側に帰属するので、受託者の著作権を認める場合、その旨を契約で決めておかなければならない。
    ウ.受託者は原則として際委託することができるので、委託者が再委託を制限するためには、契約で
再委託の条件を決めておかなければならない。
    エ.ソフトウェア開発依託費は開発規模によって変動するので、契約書では定めず、開発完了時に委
託者と受諾者双方で協議して取り決めなければならない。

出典:平成31年度 春期 ITパスポート試験公開問題 問32

◆確認問題の解答(ウ)、解説・・・各選択肢の解説は、次の通り。

  • ア:「詳細設計が完了するまで契約の締結を待つ」ということは、それまで、無契約での作業を求めることになります。無契約での作業を委託することは出来ません。
  • イ:開発したプログラムの著作権は、特段の定めがない限り受託者(受注者)側に帰属します。委託者(発注者)に、著作権を譲渡する場合は、別途取り決めが必要になります。
  • ウ:正解です。
  • エ:口頭でも契約は成立しますが、開発着手前に委託者(発注者)と受託者(受注者)双方で協議する必要です。